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宗教学宗教史学


進学相談担当  市川裕教授

1) 宗教学宗教史学で学生諸君は何を学んでいるか
 当専修課程における学生諸君の問題関心は実に多彩である。それも研究の分野や方法論が多彩なだけではない。当専修課程へ来た動機や取り組む姿勢、学問的な好奇心の方向、自分の生き方にまで関わる多様性である。それは最近数年間に提出された卒業論文で扱われたテーマに典型的に表れている。
最近数年間の卒業論文のテーマ
 研究の方法論でいえば、哲学・歴史学・文献学・宗教心理学・宗教人類学・民俗学・宗教社会学などにわたり、問題関心の点からは思想研究・地域研究・現代的関心などが主要なものになっていると言える。既成宗教への関心が少ないのは残念な気もするが、既成宗教の全般的退潮が顕著な現代社会の趨勢をそのまま反映したものであろうか。

2) 宗教学宗教史学専修課程の特質
 人類の誕生以来、人間のいるところはどこでも、常に人間と共に存在してきたと考えられるのが宗教である。宗教は人間の価値観や文化形成と密接に関わっているために、古今東西、宗教的世界観や信念に結びつかない法秩序や儀礼体系はほとんど見つけることはできない。当専修課程は、そうした極めて広範かつ多様な領域を相手に、「宗教」とは何かという問題を、様々な視点と多様な方法によって研究する場所である。
 学問は客観的であることを目指さなければならない。とはいえ、人間の内奥の精神の働きである宗教を学問の対象として扱うのであるから、単に対象を突き放して観察すれば済む問題ではなく、他者の理解、他者との絶えざる対話が必要となる。また、宗教は超越的存在に関わる営みであるゆえに、人を魅了すると同時に、一歩誤ると非常に危険なものになる恐れがある。これは現代の諸宗教運動だけの問題ではなく、ナチスや国家神道などという形で近代国家においてしばしば顕在化してきた問題であり、更には文明としての宗教が常に内包してきた問題であると言えるであろう。それゆえ、宗教学に携わろうとする諸君は、批判的精神を失わず、また自己満足や独善に陥ることのないよう、見識を磨いてほしい。歴史に学び(宗教史学)、理論を検討し(宗教学)、人間と文化を見る目を養ってほしい。講義と演習はそのために用意されている。
 当専修課程は学生の主体性に委ねられた部分が多い専修課程である。それでも当専修課程の教育と研究を拘束する最低限の原則があるとすれば、以下の二点であろう。第一は、自己の信じる特定の宗教が最高であると主張し、論証し、宣揚することを目的とする研究は慎むこと。ここは神学や教学を行なう所ではない(ただし、神学や教学を研究対象として論じることは重要である)。第二に、何を研究するにせよ、その根底に「宗教とは何か」という通文化的な問題意識を持っていること。これが失われると隣接諸学との区別がなくなり、本専修に所属して研究する名分が失われる。以上の二点に留意してもらえば、いかなる立場からいかなる事象を研究することも自由である。ただ強いて言うなら、得意とするディシプリンを一つと、研究対象に関係する言語を一つマスターしていると心強い。

3) カリキュラムについて
 授業の区分は次の通りである。
     宗教学概論・ 宗教史概説(8単位)
     宗教学・宗教史学特殊講義・地域宗教研究(12単位)
     宗教学演習・ 宗教史学演習(8単位)
     卒業論文(12単位)
 概論・概説、特殊講義・地域宗教研究は内容の違いにより区分されるのではなく、前者は研究室のスタッフが担当し、従って多かれ少なかれ“宗教学とは何か”という問題関心に関係しているのに対し、後者は主に非常勤講師により担当される点が異なる。演習は2カ年連続して計8単位を履修する必要がある。
 学生諸君は各自の問題関心に沿って履修科目を選択し、各自の研究を進めることになるが、専修課程に進学後、新しい問題に目覚める場合も多い。だから焦って早くから自分の興味の幅を狭める必要はない。期待されるのは自分でよく考え、見極めていく姿勢であり、先人の業績を批判的に継承しつつ新たな問いを発していく目的意識と気概である。そのための挑戦の場となるのが「卒論ゼミ」であり、その成果となるのが卒業論文である。
 宗教学では卒業の用件として卒業論文の提出を義務づけており、その質的な向上をはかるため、毎年冬学期に卒論ゼミを開講している。複数の教員の出席のもと、卒業論文の内容に関する研究発表を行ない、それを元に出席者全員で質疑応答を行なうことで、論文の書き方だけでなく、研究の進め方や学問的な考え方、相互の親睦に対しても大きな意義があると感じている。
 卒業論文の長さは四百字詰め原稿用紙換算で100枚程度を目安とするが、短くとも内容の充実こそが肝要であり、無理して枚数を増やす必要はない。二月の下旬もしくは三月上旬に卒論の口頭試問が行なわれ、それに合格して晴れて卒業となる。

4) 大学院進学について
 宗教学専攻の大学院修士課程の定員は六名、近年は他専修課程や他学部、他大学の出身者の応募も多い。大学院入試は語学(二言語)・専門・面接であるが、選抜においては卒業論文も評価の対象となる。修士課程進学者全てが研究者の道を歩むわけではなく、修士終了後、就職する例もある。

5) 卒業後の行方
 就職先は、出版・放送・教育・製造業・金融などのほかに、近年では資格を目指して専門学校に通う人、演劇や音楽で身を立てようとする人など、考え方も多様である。研究者を目指す場合は宗教学専攻の修士課程に進学することが多いが、自分の関心にあわせて他の専攻や他大学の院に進むケースも多い。

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