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心理学


 

(1)特色
 科学的な心理学 ― それが文学部の心理学専修課程で学ぶ心理学です。
 臨床心理学のような実用的な心理学ではなく、人間の精神活動を科学的に解明するための心理学を学びます。現在、文学部の心理学研究室では、視覚を中心として、注意、記憶、言語、思考などについて研究をおこなっています。
 この研究室は、日本で最も古い心理学研究室です。1903年に日本で初めて設立された心理学実験室を起源としています。ここから、東京大学の各学部に、また、全国の多くの大学に、それぞれ特色ある心理学関係の研究室が分かれていきましたが、文学部の心理学研究室は、現在に至るまで一貫して、実験にもとづく科学的な研究を続けてきました。「日本で最も古い」とはいっても、古くさい心理学をやっているわけではありません。実験心理学の分野で先端的な研究を進めています。心理学研究室ホームページのURLは以下の通りです。

http://www.l.u-tokyo.ac.jp/psy/index-j.html



(2)どういう心理学を学ぶのか?
 心理学専修課程で学ぶ心理学について、もうすこし詳しく説明しましょう。
 ものが見えるのはどうしてなのでしょうか? 言葉を使ったり、考えたりすることができるのはどうしてなのでしょうか? 心理学研究室で研究しているのは、こういった問題です。
 言葉を使ったり、ものを見たりすることは、ものごころついたときには、もう自然にできるようになっていることなので、なんとなく「簡単なことなのだろう」と思ってしまいがちです。ところが、コンピュータが発達した現在でも、コンピュータは、人間と同じようには、言葉を理解したり話したりすることができませんし、まわりを見て、そこに何があって、それがどう動いているのかを見てとることもできません。因果関係を発見したり、人の心のうちを読み取ったりする高度な思考の働きはもとより、誰もが「できてあたりまえ」と思っていることも、実は非常に複雑な情報処理に支えられているのです。
 心理学研究室では、視覚、注意、記憶、言語、思考といった心理プロセスを情報処理プロセスとして研究しています。具体的な研究方法は、研究のテーマに応じてさまざまです。いちばん多いのは、パソコンの画面に何か課題を提示して判断をしてもらうという実験です。その課題をいろいろと工夫することによって、頭の中でどのような情報処理がおこなわれているのかを知ることができるのです。ほかにも、動物の網膜標本を使って神経伝達物質の働きを調べる神経科学的な実験から、アンケート用紙にペンで回答を記入してもらう質問紙実験まで、いろいろな種類の実験をおこなっています。
 心理学専修課程に進学すると、こうした実験の方法と、そこから得られたさまざまな知識を学ぶことになります。2年生の冬学期には、まず、実験実習の授業を受けることになります。この授業では、心理学の代表的な実験をいくつも体験します。実験者の立場で実験をしたり、参加者の立場でいろいろな課題に取り組んだりしてデータを集め、それを統計的な手法で分析します。この実験実習を補助する授業として、研究法や統計についての授業も用意されています。
 「統計」と聞くと尻込みする人がいるかもしれませんが、恐るるには足りません。数理統計学を究めるわけではなく、統計的手法の意味と使い方を学ぶだけですから、文系の人でも、心理学の学生向けに用意された統計の授業に出てきちんと勉強すれば、充分、身につけることができます。現代社会では、企業運営から市場調査、金融取引にいたるまで、ありとあらゆるところで統計の知識が必要になってきていますから、大学院に進学する人はもとより、就職を目指している人でも、学生時代に統計を学んでおいて無駄になることは決してないでしょう。
 本郷に進学してからは、もうすこし高度な実験実習の授業で、既に結果がわかっている実験ではなく、どういう結果になるかわからない最先端の実験に参加することになります。一方、講義を通じて心理学の知識を広く身につけ、ゼミを通じて特定の分野の知識を深めていきます。専任の教員がおこなう授業のほか、毎年、外部から非常勤講師を招いて、動物心理学、記憶心理学、人工知能、実験用プログラミングなど、バラエティに富んだ講義を提供しています。
 4年生になると、卒業論文に取り組むことになります。心理学専修課程の卒業論文は科学論文であり、実証的な研究をおこなって、その研究の背景や目的、方法、結果やその解釈を記します。大学院生や教員の実験に参加する場合もあれば、自分自身のアイデアで実験をおこなう場合もあります。卒業論文のデータが、その後、国際的な学術雑誌に掲載された論文のなかで活用されることも稀ではありません。

(3)大学院ではどのように研究を進めるのか?
 例年、卒業生の2割から3割ほどは、心理学の(あるいは心理学に関連する他の分野の)大学院に進学しています。大学院に進学したひとの大半は研究者になり、東京大学をはじめとする全国の大学や研究所で、心理学関係の研究・教育に携わっています。海外の有名大学の教授になっている人も少なくありません。
 大学院の選考は、人文社会系研究科の他の専門分野とおなじく、筆記試験と口述試験によっておこないます。口述試験では、受験者が卒業論文(または、それに代わる論文)の内容を発表し、教員とのあいだで質疑応答をおこないます。合格者のなかには、他大学の出身者、あるいは、外国からの留学生も少なくありません。
 心理学専門分野の大学院に進学すると、指導教員のもとで実験心理学の研究を進めることになります。指導教員から研究テーマが与えられるのか、それとも自分で研究テーマを選ぶことになるのかは、教員の方針によって異なります。いずれの場合も、ゼミなどの授業に出席するだけではなく、研究テーマに関連のある論文を自分で探して読み、実験をおこなうための技能を身につけ、実験計画を立てて、じっさいに実験をおこなうことになります。実験結果は、「大学院研究会」(正式名称は「心理学基礎論」)という授業のなかで、すべての教員・大学院生の前で発表し、一緒に検討します。最近は、そうした研究成果を国際的な学術雑誌に英語で発表する大学院生も珍しくなくなってきました。
 大学院では、研究の経験を積むだけではなく、実験演習、あるいは、学部生の卒業論文研究の指導を教員と分担することによって、教育の経験も積むことになります。大学院を修了した後、大学の教員になるひとが少なくないので、これは大学院の非常に大切な教育プログラムになっています。

(4)卒業生はどういう方面に進んでいるか?
 学部を卒業したひとの7割から8割は、民間企業や官庁に就職しています。就職先はさまざまで、特に決まった進路というものはありません。金融業、製造業、出版業など、多岐に渡っています。最近は、IT関係の職業に就く卒業生もかなり増えてきています。中には、国会議員や大臣になったり、他大学の医学部に進学して医師になったりした卒業生もいます。
 大学院に進学しなくても、調査会社や広告代理店、官庁などに就職した場合には、心理学の知識や手法が直接生かせることもあるようです。厚生労働省などは、心理職の採用もしています。文学部を卒業したからといって、特に就職に不利になるというようなことはないようです。

(心理学の実験室で、眼球運動を測定する実験をおこなっている場面。)

(心理学の実験室で、眼球運動を測定する実験をおこなっている場面。)

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