文学部の紹介

思想文化学科
哲学専修課程
中国思想文化学専修課程
インド哲学仏教学専修課程
倫理学専修課程
宗教学宗教史学専修課程
美学藝術学専修課程
イスラム学専修課程

歴史文化学科
日本史学専修課程
東洋史学専修課程
西洋史学専修課程
考古学専修課程
美術史学専修課程

言語文化学科
言語学専修課程
日本語日本文学
  (
国語学)専修課程

日本語日本文学
  (
国文学)専修課程

中国語中国文学専修課程
インド語インド文学専修課程
英語英米文学専修課程
ドイツ語ドイツ文学専修課程
フランス語
  
フランス文学専修課程

スラヴ語スラヴ文学専修課程
南欧語南欧文学専修課程
現代文芸論専修課程
西洋古典学専修課程

行動文化学科
心理学専修課程
社会心理学専修課程
社会学専修課程

大学院独立研究専攻
文化資源学
韓国朝鮮文化

次世代人文学開発センター
先端構想部門
萌芽部門
創成部門

 

心理学専修課程へ戻る / 文学部トップへ戻る / 社会学専修課程


社会心理学


◇教員◇

教授:山口 勧,唐沢 かおり, 亀田達也(平成2610月着任予定)

准教授:村本 由紀子

助教:

 

◇学生◇

学部:56名,修士課程:7名,博士課程:12名

 

 

社会心理学は、心理学の一領域として、社会的な環境の中における人々の行動と、その背後にある心的過程について研究する実証科学である。研究対象は、社会的状況の理解過程やそれを支える情報処理過程、対人行動、集団行動の一員としての行動、組織における人間行動、文化的歴史的な影響過程など幅広い。社会心理学研究室の学部教育においては、さまざまなテーマに及ぶ社会心理学の基礎的知見や理論を学ぶための概論、特定のテーマに関して深く掘り下げた議論を行う講義、実証的な研究手法を学ぶための実験実習や社会調査法実習、統計学の授業が開講されている。また、隣接科学としての心理学、社会学はもとより、哲学、言語学、文化人類学、生物学、精神医学などの幅広い知識が役に立つことが多く、これらの授業への参加を積極的に勧めている。

研究方法論の習得プロセスは妥協を排した厳しく長い訓練を伴うが、それは学生どうし、また学生と教員との和気あいあいとしたジョイント・プロジェクトでもある。関心を同じくする仲間と知的刺激に満ちたディスカッションを重ね、心と社会に関わるさまざまな問題にアプローチすることの楽しさを、ぜひ体感してほしい。

 

各教員の研究領域および担当授業の概要は以下のとおりである。

 

山口 勧 教授  実験社会心理学を専攻とする。研究で用いる方法は、研究対象者(被験者と呼ばれる)の置かれる状況を研究者(実験者と呼ばれる)が意図的に操作し、条件によって認知や行動がどのように変化するかを調べるというものである。一般的に言って、人の社会的行動は文化による変動が大きい。そのため、一つの文化で見いだされた傾向が、他の文化では全く見られなかったり、逆の傾向が存在したりすることがよくある。そのため、社会的行動の文化を超えた一般性を吟味したり、変動を分析したりすることが重要となる。

現在の主な研究のテーマの一つは、集団主義傾向が、その人の認知傾向や行動とどのように関わっているかを比較文化的に検討することである。また、日本人の自尊心の高さやそれを測定する方法について、比較文化的な視点から検討している。さらに、日本人に固有の傾向と考えられてきた「甘え」についても、実験的な手法をもちいて比較文化的な研究を行っている。日本人で得られた結果の一般性を調べるために、他のアジア諸国や米国およびヨーロッパでデータの収集を行っているわけである。具体的には、日本人に特有と考えられてきた、集団主義的傾向や「甘え」の文化を超えた一般性などについて研究を進めている。

授業科目では,「社会心理学概論」「実験社会心理学実習」「社会心理学実験実習」の第1部を担当している.実験社会心理学演習では,社会的行動や認知について,英文の論文を講読しながら議論を進めていく.さらに,それと平行して,さまざまな実験および社会的データの解釈について考える問題を解く練習を行う.社会心理学実験実習「社会心理学実験実習:第1部では実験を実施し、データの解析を履修者自身の手で行うことが求められる.

 

唐沢 かおり 教授  専門は,人や集団などに対する情報処理や社会的な場面での情報処理過程を扱う,「社会的認知」領域である.近年は,次の4つのプロジェクトを中心に研究を進めている.

1)心の推論とモラルエージェントとしての私たち: 私たちは,他者の心的状態(意図・動機など)を推論し,それに基づき他者を評価し,「援助,非難,許し」などの道徳的な態度・行動を他者に向ける.このような特性を持った人間「モラルエージェント(Moral Agent)」と位置付け,その心的特性と社会的帰結を検討する.

2)情報処理の自動性と自己制御: 私たちは,自分が行う判断や行動が「自分の統制下」にあると思いがちだが,実際には,かなりの部分,無意識的で自動的な過程に制御されている.このような情報処理や行動の自動性,またそれが自己の行動の制御に与える影響を検討する.

3)自由意思信念の社会心理学的帰結: 自由意志(自分の望みどおりの行動を選択する能力)や決定論的信念の構造を検討するとともに,そのような信念が自己の行動制御や対人判断に与える影響を検討する.

4)科学コミュニケーションと社会心理学の方法論: 社会心理学は,さまざまな社会的場面に応用可能な知見を提出するポテンシャルを持っており,それがこの学問の魅力や価値を構成しているが,その知見を正しく伝えるための方法論(「正しいとは何か」という問いかけも含む)について議論する.

授業科目は,「実験社会心理学演習」「実験社会心理学実習」「社会心理学実験実習」の第2部および第3部を担当している.

社会心理学実験実習では,研究テーマや研究仮説に即した実験材料の作成,実験の実施,データの解析を行いながら,実験による研究手法を習得する.実験社会心理学演習では,上記の研究テーマに関連する文献を批判的に検討し,新たな研究計画の策定(必要に応じて実証)過程を経験することにより,当該領域の知見を深める.

 

亀田 達也 教授(平成2610月着任予定)  近年の人間・社会科学では、心理学における進化的視点の受容や、経済学における進化ゲーム理論の展開などに見られるように、個体や血縁者の生き残りに対して、ヒトの認知・感情・行動がどのような役割・機能を果たすのかを考えるという研究アプローチが重要になっている。こうした「適応のメタ理論」に立ち、社会・集団行動のメカニズムや成立基盤を、他分野の研究者と協働しながら研究している。現在進行中の領域交叉的な研究の例として、「正義」に関する哲学的な議論がどのような認知・神経基盤をもち得るかに関する実験的検討(経済学、脳科学、哲学・倫理学者との協働)、②集団意思決定の仕組みに関するヒト-アリ間での種間比較実験(進化生物学、行動生態学者との協働)、③共感性の認知・神経基盤に関する実験的検討(脳科学、神経生理学者との協働)、などがある。

授業科目では、「社会心理学概論」、「社会心理学調査実習I」、「集団心理学演習」を担当している。社会心理学概論では、適応のメタ理論に立ちながら、社会心理学や隣接諸科学が蓄積してきた社会・集団行動に関するさまざまな実証的知見をレビュウする。社会心理学調査実習Iでは、研究テーマや研究仮説に即した調査票の作成、標本抽出、調査の実施、データの解析を行いながら、社会調査に基づく研究手法を習得する。集団心理学演習では、社会的場面での意思決定を中心テーマに、隣接領域の研究を含む英文文献を講読しながら、私たちの行動が、他者の行動を引き起こす「原因」であると同時に、他者の行動の「結果」であるという、「マイクロ=マクロ・ダイナミクス」について理解を深める。また、こうした社会的相互依存構造を捉える手法として、ゲーム理論を含む数理的なアプローチについても学習する。

 

村本 由紀子 准教授  個人としての人間の心理を超えて、さまざまな組織・集団、共同体の一員として生きる人間の心理や行動を理解することを主たる目的とし、特に以下の2領域に焦点を当てて研究を推進している。(1) 海外の研究者と連携して実施する国際比較実験・調査を通じて、異なる文化に生きる人々の心理・行動傾向の差異と、その差異を生じさせる社会環境の構造的要因に目を向け、社会環境と個人の心理・行動との相互構成メカニズムを明らかにすることを目指している。(2) 開かれた公共スペースに一時的に集う人々から、閉じたネットワークの中で組織の一員としての相互作用を繰り返す人々に至るまで、現実社会に存在する多彩な集合体を対象としたフィールド研究を行い、規範・文化の生成と維持・変容のメカニズムを探究している。

主な担当科目は「社会心理学概論」、「社会心理学調査実習」、「応用社会心理学演習」である。このうち、調査実習(第2部)では、グループ単位の実習を通じて、リサーチ・クエスチョンの設定、仮説の導出、質問項目の作成から、ランダム・サンプリングによる標本抽出、データの収集と分析、報告書の作成に至るまでの社会調査の全プロセスを学習する。また、演習では、日常生活の現場に存在する社会心理学的問題のなかから特定のトピックを取り上げ、異なる視点で当該の問題にアプローチする諸研究の実例に触れながら、多面的なディスカッションを通じて理解を深めていく。

 

最後に、卒業生の進路は、大学院の他、民間企業、情報産業、官庁など多岐にわたっている。社会心理学を学ぶことで身につけたデータ分析の考え方や問題解決への道筋は、将来どのような進路に進む人にとっても、役に立つものとなり得るだろう。

▲ このページのTOP


 

心理学専修課程へ戻る / 文学部トップへ戻る / 社会学専修課程