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モット絶縁体やその近くの金属はどんな物質に見られるか?

1986年に発見された銅酸化物高温超伝導体はLa2-xAxCuO4という遷移金属酸化物の一種(ただしAはSr(ストロンチウム)やBa(バリウム)でx=0.15程度)であるがこの母物質であるLa2CuO4は典型的なモット絶縁体である。高温超伝導体の相図は下図のようになっていてモット絶縁体にキャリアをドープすることにより得られた。
巨大な磁気抵抗効果を示すことで知られている、R1-xAxMnO3(但しRはLa, Prなど、AはSr,Caなど)の母物質RMnO3も遷移金属酸化物でモット絶縁体である。
有機化合物であるBEDT-TTF化合物と呼ばれる物質群ではモット絶縁相と超伝導相が隣り合せに見られる。

La2-xAxCuO4などの高温超伝導体の相図 遷移金属酸化物などでのモット絶縁体をその成り立ちから2種類に分類することがある。1つはモットハバード型、もう1つが電荷移動型と呼ばれるが、電子間の強いクーロン反発力が絶縁体形成の原因であることには変わりない。モットハバード型はTiやVなど軽い遷移金属酸化物に多くみられ、電荷移動型はNiやCuなど重い遷移金属酸化物に多く見られる。電荷移動型は遷移金属のd軌道だけでなく酸素の電子軌道が大きな役割を果たしている点がモットハバード型とちがっている。 |
モット絶縁体には、反強磁性という磁気秩序が多くの場合に見られる。モット絶縁体の近くの金属は金属としては悪い金属で、金属として不安定になりやすく、超伝導、種々の磁気秩序、また絶縁体化などがおこりやすくなっているが、これらの揺らぎが大きいため、大変興味深い物性や未知の現象を示すことが多く、現在多くの研究者が研究を進めている。
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