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理論模型の量子モンテカルロ計算
  ─なぜ量子系でモンテカルロ法を使うの?

  

 

   

そこでバンド計算や光の実験等から低エネルギー励起に寄与する重要な自由度だけを取り出して、現実の系を簡単化したモデルを考える。

すなわち

      

しかし

そこで           

 

 

相互作用のない量子系:

  多粒子系の状態は一粒子状態の準位の
  占有の仕方であらわされる。

       相互作用のない系の場合はたいてい厳密にとけて、
    物理的性質を近似なしに求めることができる。

問題なのは

相互作用している多体量子系:

 相互作用する多体系の状態は下図のようにいくつもの一粒子状態の重ね合わせ
で作られるが、この場合には、多数の粒子の系の性質を厳密に求めることは通常
大変難しい。なぜなら重ね合わせなければならない状態の数が莫大だからである。
これを量子力学的多体問題と呼び、古典的な多体問題よりもはるかに難しいことが
多い。
 

そこで近似せずに有限個の粒子の系で数値計算を行なうことを考えてみる。
この時も困難がある。多くの一粒子状態を同時に取り扱わなければならなくなる
という点である。重ね合わせなければならない一粒子状態の数は系の大きさの
指数関数に比例する。このため系の大きさを増やすにしたがい取り扱う状態の
数が指数関数的に増大して計算機の能力をすぐに超えてしまう。
                 

        

数値計算を行なううえで、厳密な答えを得ようとすると小さなサイズのクラスターしか扱えない。

例えば電子系の場合は、厳密に
取り扱おうとすると現在の計算
機の能力では20個程度の電子
を取り扱うのが限界となってい
る。

 実際には、温度が低い場合はごく一部の低エネルギー状態だけが物性に寄与する。そして我々が日常問題とする常温以下の温度は電子系の特徴的な温度であるフェルミ温度より充分低いとみなせることが多い。したがって全ての状態を均等に取り扱う必要はなくなり、モンテカルロ法による統計サンプリングの方法が精度の良い結果を与えることになる。

 

電子はフェルミ粒子なので、電子物性を研究するためにはフェルミオン系のモンテカルロ計算の手法を用いる必要がある。

 

フェルミオン系のモンテカルロ法としては

      
          等が良く用いられる。

このほか、変分関数の評価にモンテカルロ積分法を利用する方法
変分モンテカルロ法)も用いられる。
 また関係の深い計算手法として数値的な密度行列くりこみ群の方法が近年発展し、空間次元1次元の量子系をとりあつかう強力な手法となってきている。

 量子モンテカルロ法は動的平均場近似と呼ばれる方法の解析にも用いられることがある。動的平均場近似は空間次元無限大のときに厳密な結果を与えることが、時間的ゆらぎを正確に取り込むことのできる手法である。

 


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