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生体膜とその構成脂質の新しい機能を科学する
キーワード:生体膜、細胞内小器官、生理活性脂質、炎症反応、リピドミクス

図1 生体膜脂質の機能


図2 脂質関連疾患

研究課題

1.

生体膜脂質の生合成・恒常性維持機構の解明
2. 生体膜ダイナミクス(エンド・エキソサイトーシス等)の分子機構の解明
3. 脂質メディエーターによる炎症性疾患の制御機構の解明
4. 新規生理活性脂質の同定及び機能解明

 生体膜は、リン脂質二重層とほぼ同量のタンパク質によって形成されており、細胞を外界と区別する障壁であるのみならず、細胞内の様々なオルガネラを形成し、その機能を制御する非常に重要な構造物です。衛生化学教室は、生体膜の必須成分である「脂質」の生理機能の解明を目指しています。生体膜には1000種類以上の脂質分子が存在し、それらの適切なバランスがタンパク質の安定性・活性・局在、及び様々な遺伝子の発現制御に重要であると考えられています。我々は、生体膜の主要構成成分であるリン脂質を中心に、その生合成や恒常性維持に関わる分子の同定・機能解析を行うと共に、生体膜のダイナミックな活動(エンド・エキソサイトーシス等)における生体膜脂質の役割を解析しています。
 また、生体膜脂質からは様々な生理活性脂質が生成することが明らかになっており、脂質メディエーターとして多様な生命現象や病気に関わっていることが知られています。我々は近年注目されている、生活習慣病の基礎疾患である「炎症反応」を中心に研究を展開しています。生体内に存在する脂質メディエーターは非常に微量かつ多くの種類が存在するため、リピドミクスの手法を用いてそれらがいつ、どこで、どれだけ産生されるのかを包括的に明らかにすると共に、新規の生理活性脂質の同定も目指しています。