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アルツハイマー病、パーキンソン病の研究を通じて脳の機能と老化の謎に迫る
キーワード:アルツハイマー病、パーキンソン病、アミロイド、プレセニリン、α-シヌクレイン、Lewy小体、CLAC蛋白
リン酸化α-シヌクレイン特異抗体で染色したDLB脳皮質


プレセニリン複合体・γセクレターゼ形成モデル

研究課題

1.

アルツハイマー脳におけるβアミロイド蓄積機構に関する研究
2. 家族性アルツハイマー病原因遺伝子プレセニリンに関する研究
3. アルツハイマー脳アミロイド非β蛋白成分CLACに関する研究
4. パーキンソン病脳に出現するLewy小体とその構成蛋白α-synucleinに関する研究

 臨床薬学教室では、有効な治療法の見出されていないヒトの神経系変性疾患、とりわけ脳の老化過程と密接な関係をもち、高齢化社会の本格化とともに急増しているアルツハイマー病とパーキンソン病について研究を行っている。神経変性疾患の特徴として、神経細胞が進行性に死滅・脱落を続け、脳機能の不可逆的な障害を生じるのと平行して、変性した神経細胞の内外に、疾患ごとに特徴的な線維性蛋白の蓄積がみられることがある。線維化し蓄積した異常蛋白が細胞障害を生じることが予測されている一方で、一部の家族性症例においては、これらの蓄積物の構成蛋白をコードする遺伝子の変異が疾患の発症と連鎖することが知られており、原因遺伝子と変性現象の間に見事な遺伝学的連関が成立している。このような観点から、疾患脳組織を病理形態学、病理生化学の手法を用いて解析し、異常蓄積物の構成成分と形成過程を明らかにするとともに、そのモデル系としてin vitroの生化学的実験や疾患原因遺伝子を発現する培養細胞を用いた分子細胞生物学的研究を進め、神経変性のメカニズムを上流(=遺伝子)と下流(=蓄積蛋白)の両方向から解明することを目標としている。