今田研究室ホームページへ
この章の最初にもどる 前のページ
次のページ
超伝導秩序の対称性がdとなるエキゾティックな超伝導
超伝導秩序は他の秩序状態と同じように、相転移の理論に出てくる秩序パラメータによって特徴づけられる。常伝導状態では超伝導秩序パラメータはゼロであり、超伝導状態ではゼロでなくなるので、2つの違いを明確に区別する物理量である。超伝導秩序パラメータはその大きさだけでなく、空間的な対称性によっても特徴づけられる。ほとんどの現在知られている超伝導体はs波の対称性を持つと信じられている。BCS理論で知られているように、フォノンが媒介した電子間の引力によるペアリングによって生ずる超伝導は空間的に等方的なs波の対称性を持ちやすいのに対して、反強磁性的な相関を持つスピンが超伝導の出現に関与する場合には空間的に異方的なd波の超伝導が生じやすいことが知られている。ここ数年、銅酸化物高温超伝導体の秩序パラメータの対称性を決定するための集中的な研究が繰り広げられた結果、秩序パラメータの符号が空間のx方向とy方向で逆になると考えないと説明しにくい現象がジョゼフソン効果を用いた接合素子を工夫した実験(例えばπジャンクションと呼ばれる接合素子)などによって明らかとなり、銅酸化物高温超伝導体の秩序パラメータの対称性はdx2-y2の対称性を持つと信じられるようになってきている。超伝導秩序がdの対称性を持つことはこの超伝導が、強い電子相関のもとで起きていることを如実に示している。
|
|
dx2-y2の対称性 | 等方的なsの対称性 |
超伝導秩序パラメータの対称性がdx2-y2の場合、x方向とy方向で秩序パラメータの符号が変わり、x軸、y軸と45度をなす方向(図の点線の方向)だけは秩序パラメータの大きさがゼロとなっている。上の図で、ある方向の秩序パラメータの大きさは*印の原点からその方向に引いた直線と塗ってある図形の境界との交点までの距離で決まる。秩序パラメータの符号(プラスかマイナスか)は赤と青の色で逆になっている。
この章の最初にもどる 前のページ
次のページ
今田研究室ホームページへ