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日本語日本文学(国語学)
進学相談担当 : 井島正博教授
1)専修課程の特徴
本専修課程の研究室(国語研究室)は,上田万年によって1897年に開設された日本における国語学,言語学の発祥の地であり,この分野での最も伝統的な研究室である。蔵書はどの時代や分野をとっても欠けるところはなく,江戸時代以前の貴重書を多く所蔵することでも有名である。人的な面では,本専修課程は3名のスタッフを擁し,その分野も,現代語から古代語まで時代を網羅し,研究領域も,文法・音韻・文体・談話という主要な分野をほとんどカバーしている。こうしためぐまれた環境で,少人数の教育・指導が受けられるというのが本専修課程の特徴である。
2)国語学とは
「日本語学」と呼んでも「国語学」と呼んでも同じものであるが,この学問は,我々の母語である日本語の究明を通して,言語とは何か,意味の伝達はどのような機構で成立するのか,その上になりたつ我々の文化はどのようなものであるかを考える学問である。外界のできごとを認識するとき,ものを考えるとき,またある内容や気持ちを人にむかって表現,伝達するとき,さらにそれを通して社会的関係を構成するとき,いうまでもなく,われわれは日本語を使ってそれをなしとげている。日本語の構造と歴史を追求することは,考え,表現する生きものとしてのわれわれ自身と日本の文化のあり方を追求することである。ことばによって意味が構成され,伝達されることのメカニズムを問うということも,言語一般への広い目配りを持った上で自分自身の母語を対象とするとき,はじめて豊かな成果が得られるはずである。linguistics
とは,日本で言ういわゆる国語学(日本語学)・英語学・仏語学・中国語学などを合わせた全体がそれに相当するのであって,linguistics のほかに個別言語学があるのではない。国語学(日本語学)とは,日本語を通して言語とは何かを問う
linguistics なのである。
3)研究教育の諸分野
国語学の分野としては,日本語の言語体系を構成する各領域に対応して,文法論・意味論・語彙論・音韻論・文字論などがあり,言語の(広い意味での)使用をめぐって,談話分析(文章論)・社会言語学などがある。また,これらの諸分野を,時間的な展望において扱う国語史学,空間的な展望において扱う方言学がある。特に近年は,文法論,意味論における新しい理論の出現や,機械による言語情報処理というような新しい要請による理論の開発などによって,研究の進展が著しい。また,国際化に伴う要請として,他言語との対照を通じて,日本語から日本文化を考えるという方向の研究も盛んである。
4)授業科目
本専修課程の必修科目は次のとおりである。
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国語学概論
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4
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単位
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言語学概論
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4
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〃
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国語学特殊講義
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12
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〃
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国文学特殊講義
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4
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〃
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国語学演習
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12
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〃
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卒業論文または特別演習
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12
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〃
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計
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48
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単位
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本専修課程の授業内容は,上記諸分野にわたり,まず概論によって,言語学と国語学の全般についての知見を得る。その他の授業は,大きく講義と演習に分かれる。講義は,各教員の専攻分野についての専門的研究を内容とするものが多いが,非常勤講師によって,できる限り広い範囲の勉学ができるよう配慮されている。また,演習は,専門の研究論文の読解,検討を通して言語研究の視点や理論の理解,修得を目指すものと,各時代の文献を資料とし,実地に就いて,言語事実を正確に把捉する方法や言語研究の方法の修得を目指すものとがある。4年次には,大学生活の総決算として,卒業論文が課せられる。4年間の学習・研究活動を一点に収束させ,自らの興味を更に伸ばし,その後の有意義なステップとするものとして,本専修課程では,卒業論文の指導に力を入れている。
卒業論文の内容は,もちろん国語学の専門的な分野のものもあるが,世界の有力な諸言語についての専門的な講義がうけられるという本学部の環境を利用して日本語との対照研究をする道や,国文学や文学理論と日本語学との接点をさぐることによって,文学作品の成立基盤を言語の側から問うというような道も開かれている。
5)卒業後の進路
一般社会に出て,報道・出版・金融・製造などの各種企業に就職する人が最も多い。大学院に進学しキャリアをつけてから,教職に就いたり,出版,広告業界などに出ていく道もある。また,在学中,または卒業後に資格を取得し,心理や福祉関係などの専門職につく者もある。また,大学院に進学して研究職につき,研究者として日本語研究の一線で活躍する者が多いが,日本語政策の立案に係わるような人材も巣立っている。最近は日本語教育や日本語情報処理の方面でも卒業生が活躍している。
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