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英語英米文学


 

 英文科の中身は、英語学、英文学、米文学にだいたい専攻がわかれる。学科としての必修科目をどの専攻からも1科目ずつ履修することをのぞけば、学生諸君はだいたいのところ好みの専攻の勉強に集中できるはずだ。その場合、何々先生のゼミに所属、といった小枠は存在しないから、諸君は自由に自分の方向をさだめることができる。そうして行きつ戻りつ、しだいに思いさだめたトピックや作品について卒業論文を書くことが、英文科ライフのいわばクライマックスとなってほしい。卒論は英文30ページ。勉強になって思い出になるだけでなく、英作文からパソコン操作までもうまくなってしまうという一石四鳥の事業である。その間、専門の近いスタッフや助教が、書き方や参考書目などについて積極的に相談に応じてくれる。
 英語学は、一時期の言語構造(現代英語や古英語)の解明をめざす共時的研究と、言語変化の諸相を研究する歴史的研究の2分野を含む。各々がさらに様々な分野にわかれるが、すべての基礎として、言語の一般的性質・仕組みについて正確な理解をもつ必要がある。一般言語理論と個別言語の実証的研究は相互依存関係にあり、両者あいまってはじめて、実質的な興味ある成果が得られるからである。したがって授業では、英語の詳細な事実と、その理論上の意味合いを総合的に把握する訓練に重点をおく。
 一方英米文学は、範囲が定めがたいほどひろい。その中心となる英米の文学がスタッフによってだいたいカヴァーされており、授業は以下にもうかがわれるように、従来から精読を旨としている。だがその後、たとえば英米以外の英語圏の文学を、卒業論文などで学生諸君が自主的に研究することは支援されるし、児童文学、大衆文学などのいわゆるサブ・ジャンル、美術や音楽と文学との諸関係などについても、興味をひろげてもらってかまわない。後二者については、例年卒論で取り上げる諸君があらわれるし、少しずつ授業で扱っている。また、言うまでもなく、具体的な作品の読解を重視する点で英米の地域研究とは異なるけれども、社会的、文化的アプローチは当然歓迎される。英米のものを主眼とした、文学理論・批評理論そのものの研究ももちろん可能だ。要するにほとんど何をやってもよいのであり、スタッフはそれぞれの関心に応じて主だった作家・作品を扱うが、それをきっかけに自由な途をひらく、進取の気性こそここでは多とされる。

 さて、個々の教員から授業・研究の内容をかいつまんで自己紹介しよう。

 クラーク教授:My original topic of research was on William Blake and Romantic poetry, which has gradually expanded to include English literature from the 16th century and Shakespeare through to contemporary novels, poetry and film. Other more recent interests include post-colonialism, gender studies, new historicism, narratology, and Anglo-American and European critical theory, and also more specifically on the reception history of Blake and other Western authors in Japan. In my classes this year, I will use texts from a wide variety of genres and periods to discuss narrative technique and dramatization of gender in poetry. The teaching will be conducted in English, combining lecturing with exercises in close reading, presentations by students and some general class discussion. I hope this will help enable students to both consolidate and extend their existing linguistic and analytic skills, and provide helpful preparation if they intend to study abroad in future.

 高橋教授:関心の主たる対象はイギリスの小説で、少なくとも当面は、そのテクストの生まれた/そのテクストの描いた世界の社会的・歴史的背景を格別考慮することなく、ひたすらテクストを言語構築物としてながめることを基本的姿勢に授業をすすめたいと考えながら、おそらく小説というジャンルの要請のために、議論が社会や歴史へと逸脱する傾向にあるのを、学生の皆さんがどう評価するか、興味を抱きながら教室へ出かけている。もし皆さんからの強い要望があれば、小説論を中心とする、批評に対立するものとしての文学理論への考察もできる範囲で少しずつ実践してみたいと思っている。

 今西教授:英語学の諸分野、とくに現代英語のシンタクスおよび一般統語理論を研究対象とする。思考・感情の自由な表出の背後にあり、それを可能にしている「ことばの仕組み」を解明することを目標とする(生成)文法理論は、統語分析の質を飛躍的に高め、多くの興味ある発見を促してきた。この成果を踏まえ、独自に提案しているきわめて有効な諸原理を駆使して、過度に抽象化のすすんだ現在の生成文法理論に取ってかわる、より妥当な文法理論の構築に努めている。授業では、学生諸君が自ら言語について考える際に参考になるように、英語学の諸分野の中で、理論実証両面において実質的な成果が得られていてかつ英語の学習に役立つような基本的問題を中心に取り上げる。結論よりも、データに基づき仮説を立てそれを検証しながら「ことばの仕組み」を発見して行く考え方、論証の仕方に重点を置き、ことばの研究の面白さを伝えるべく努力している。上の目標に沿って、概論では英語の統語構造の概要と、(文の組み立て方などに関する)一般的原理について述べる。演習や講義(学部・大学院共通)は、具体的な構造分析を通して、文法理論と実証が相互に発見を促すプロセスを学び、統語分析の方法、論証の仕方を身につけ、各自の研究に役立てることを目標とする。さらに言語習得に関しても理論と実証の両面について考察を行う。

 大橋教授:シェイクスピアを中心とするエリザベス朝・ジェイムズ朝演劇を主要な研究対象にしている。英米の批評理論にも関心を寄せている。シェイクスピアと批評理論というのは、一見、意外な取り合わせかもしれないが、すでに英米では、新しい批評理論によって、英米文学の読みなおしが、文学史そのものをも再考するかたちで行われ、シェイクスピア研究もその例に漏れない。そのため、どの分野の研究者も、批評理論との遭遇は避けられないのが現状だが、実際に理論を作品に適用して、テクストの意味を豊かに広げるにはまだ克服すべき問題もある。そのため理論を活かす道を一方で理論の再検討を行いつつ、他方ではシェイクスピアをはじめとする個々の具体的な作品の精読と検討によって模索できればと考えているが、講義では、批評理論への導入に専念し、個々の具体的な作品と向き合うときの意識と道具を手渡すことを心掛ける。また演習では、個々のテクストの語を重視しつつ、そこからテクストをとりまく社会的・文化的コンテクストが透けてみえるような ― つまり90年代に入ってから急速な高まりをみせる批評意識を活かすような ― 読解の方法を探るとともに、それを実践してみたい。

 渡辺准教授:統語理論が専門。高度な理論的判断がどのような形でデータの分析に反映されるかということに特に興味がある。最近は移動現象に焦点を当てて理論開発の研究をすすめている。授業では、さまざまなレベルにおいて、理論の基礎をおさえていくようにしたい。理論的研究というものは、(素人がよく誤解するように)一時のはやりすたりではなく、長年の積み重ねの中から生まれてくる重要な問題をいかに解決するかがその本質である。そのような研究伝統を身につけ、理解に努めるのが授業の主目標となる。そこから、どのようにして新しいものを創り出していくかは、それぞれの努力と工夫次第ということになる。

 阿部准教授:現代英米詩を主要研究対象とする。英語詩における<伝統>の持つ呪縛力に敬意を払い古典的な作品をも考察対象とするが、出発点はあくまで現代であり、それ故「今、この現代世界において、わざわざ詩が書かれることに意味があるのか?」、「このような環境で我々が詩を読むとはいったいどういうことか?」、「どうして詩について語る必要があるのか?」といった学生諸君が当然持つ(べき)であろう疑問と関わり合うような授業展開が理想である。また刺激的な作品世界を体験してしまったときの、「ああ、何かこれについて語りたい。何とかしたい」という、ムズムズするような衝動にはけ口を与えうる批評の可能性を探るのも大きな目標のひとつである。

 諏訪部准教授:アメリカの20世紀小説を主な研究対象としてきたが、そもそも小説とはいったい何なのかという大問題に関心があり、したがって19世紀小説を無視しているわけではない。この「大問題」を、個々の文学作品をどうすれば面白く読めるかという実践において考えるのが、当面の方針ということになる。教員の「文学」へのそのような関心は、授業にも当然反映されることにはなるが、それぞれの作品を、それぞれに相応しいスタンスを模索しつつ読んでいく以上、アプローチは限定的というより包括的となるはずであり、そのようにいわば柔軟性を強制する形で受講生自身の問題意識を拡大深化させることを目標としたいと思っている。

 そのほかに非常勤講師を教養学部や学外から招聘して、現在英語学2、英文学6、米文学3の講義を設けている。(英語後期――英会話・英作文――およびアカデミック・ライティングは、いずれも文学部共通の選択科目として開設されている。)
 また、TAの大学院生、外国人客員教授および英語の非常勤講師の協力を得て、学部3年生を主に対象に“英語漬け”の1日を体験する「イングリッシュ・キャンプ」も毎年開催されている。また、個別のテーマや作家に関する読書会・研究会は、学部生・大学院生いろいろなレヴェルで常時複数行われており、専任教員による自主授業的なプログラムもある。

 本専修課程で最近特に注目される傾向は、研究職を目指して大学院に進学する学生と並んで、英語力を活かし、出版やマスコミ等だけでなく、金融、製造など一般企業に就職する学生も多くなっていることである。

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